美容皮膚科講義
Paper No.2 分娩後の血中ビタミンD濃度:妊娠中の栄養状態と疾病状況の関連性
Bella Pelle Vol.4 No.2, 51, 2019
目的:分娩後のビタミンD不足および欠乏症を評価し,非妊娠時BMI,妊娠期体重増加量および社会人口学的変数との関連性を検討する.
方法:本研究は,満期出産に至った225名の女性を対象とした横断的研究である.母体の健康状態,社会経済的地位,非妊娠時BMI,妊娠期体重増加のデータを収集し,ビタミンD(25(OH)D),カルシウム,リン,マグネシウム,アルカリフォスファターゼについて検査評価を行った.
結果:対象女性は,平均年齢25.6±6.6歳,浅黒い肌,低学歴で都市圏就労の者が最も多かった.また,対象者のうち日常的に太陽光曝露していたのは144名(64.0%),日焼け止めによる光防護をしていたのは44名(19.6%),ビタミンD補給をしていたのは5名(2.2%)であった.血漿25(OH)D濃度の平均値は26.0±6.8ng/mLであり,43名(19.1%)がビタミンD欠乏症(<20ng/mL),および124名(55.1%)でビタミンD不足(20~30ng/mL)であった.25(OH)D濃度1ng/mL上昇につき,カルシウムが0.16mg/dL(95%CI:0.19~2.02,p=0.018)上昇した.非妊娠時BMIと妊娠期体重増加量については25(OH)D濃度との相関性はみられなかった.
結論:太陽光への曝露量が大きくかつ日常的である地域で生活しながら満期出産に至っても,分娩後にビタミンD欠乏症/不足症に陥る頻度が高いことを考えると,妊娠中にビタミンD欠乏症予防のための治療介入が必要であると考えられた.
「KEY WORDS」25-ヒドロキシビタミンD (25(OH)D),妊娠,産後,太陽光曝露,ビタミンD欠乏症/不足症
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。