爪の混濁や肥厚があっても必ずしも爪白癬とは限らない1,2).しかし,実際には視診のみで爪白癬と断定されていることも多く,なかには抗真菌薬による治療が延々と行われているケースも目にする.爪白癬と似て非なる爪疾患は多数あり1-4),検査をしなければ診断は難しい.爪疾患についてはすでに名著が出ており3,4),詳しく調べる際には是非これらを読まれることをお勧めする.本稿では日常臨床において爪白癬と鑑別するべき疾患について自験例を取り上げ概説するが,筆者の同内容の過去の総説5)をもとにしていることをお断りしておく.なお,紙面の関係で診断方法や治療については他誌に譲る6-8)