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臨床 COMPERAレジストリからの肺動脈性肺高血圧症の時間的傾向
Pulmonary Hypertension Update Vol.8 No.2, 62-63, 2022
2009年の欧州肺高血圧症ガイドラインでは,肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者への単独療法の推奨が踏襲され,初期併用療法はWHO機能分類クラスⅣの患者に,逐次併用療法は単独療法に対して不十分な反応の患者に考慮されると提言した。2015年のAMBITION試験では,単独療法と比較して初期併用療法の運動耐容性と疾患進行への著しく良好な治療成果が発表された。一方で長期生存利益の検証が組まれていなかったため,AMBITION試験では長期生存利益の有益性が見出されなかった。しかしながら,以降に改訂された欧州肺高血圧症ガイドラインでは,PAH患者新規症例への初期併用療法の推奨をはじめて発表した。一方で,併用療法が臨床現場でどの程度採用されているのか,長期生存率の改善に関与しているのかは不明である。本研究ではCOMPERAレジストリのデータを提示し,目的として2010~2019年の10年間に診断されたPAH患者の治療パターンと生存率の時間的傾向を記述した。
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