Theme 門脈圧亢進症に伴う肺動脈性肺高血圧症 State of the Art
門脈圧亢進症に伴う肺動脈性肺高血圧症:小児科からの視点
Pulmonary Hypertension Update Vol.8 No.2, 18-24, 2022
門脈肺高血圧症(PoPH)は門脈圧亢進症に伴う肺高血圧症(PH)であり,特発性PHと比較して予後不良である。小児期における原因疾患の多くは胆道閉鎖症や門脈低形成または無形性であり,新生児期の黄疸や新生児マススクリーニングから気づかれることが多い。その後は,学校心電図の心電図異常や他疾患で行った採血などから診断される。治療として,エンドセリン受容体拮抗薬,ホスホジエステラーゼ5阻害薬,プロスタグランジン製剤などのPH治療を行うが,治療抵抗性症例が少なからず存在し,重症例は肝移植の適応となる。肝移植後の予後は改善するが,肺動脈組織が可塑性をもって正常化するかはいまだわかっていない。本稿では,小児期におけるPoPHについて述べるとともに,PH治療薬や肝移植による肺動脈組織の改善の可能性について当院の心臓カテーテル検査データを後方視的に解析し,追加記載する。
「KEY WORDS」先天性胆道閉鎖,門脈体循環シャント,肝移植,肺高血圧症治療薬
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。