全身性強皮症(systemic sclerosis:SSc)の主要3病態は免疫異常,血管障害,線維化であり,これらの病態は一定の列序性をもって出現する。つまり,免疫異常が最初に生じ,続いて血管障害が誘導され,最終的に線維化に至る。SScの病態形成における血管障害の意義は「細動脈・中小動脈の線維性狭窄に直接起因する合併症の発症」と「免疫異常から臓器線維化へ至る過程の橋渡し」の2点に集約される。その背景にあるメカニズムは,血管の「構造異常」と「機能異常」に分けて考えると理解しやすい(図1)1)