Theme 運動と肺高血圧症 State of the Art
結合組織病に伴う肺高血圧症の早期発見と評価のための運動負荷
Pulmonary Hypertension Update Vol.7 No.1, 32-36, 2021
膠原病に伴う肺高血圧症(CTD-PH)の早期発見を目指し,循環器専門医とリウマチ専門医が連携し,ダブルマスター2段階負荷試験前後にドップラー心エコー検査を施行した。実臨床の現場で短期間に多数例の膠原病患者をスクリーニングでき,PHが疑われる症例を積極的に右心カテーテル検査を施行した結果、多くの症例がWHO機能分類Ⅰ度またはⅡ度の軽症であった。また,CTD-PHは,特にⅠ群とⅡ群の病態が混在し,主病態の判別が困難なことが多い。運動負荷心エコー検査を用いたdiastolic stress testが,潜在的左室機能障害を検出するうえで有用である。さらに,強皮症以外の膠原病による肺動脈性肺高血圧症は,早期に免疫抑制療法と肺動脈拡張薬併用療法を行うことにより,血行動態が正常化することが可能である。その際に,運動負荷心エコー検査は,経時的治療効果判定,ならびに肺動脈拡張薬漸減・終了の指標として有用である。
「KEY WORDS」肺動脈性肺高血圧症,膠原病性肺高血圧症,強皮症,運動負荷心エコー検査,左室拡張障害
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。