Theme 運動と肺高血圧症 State of the Art
運動時肺高血圧症―慢性血栓塞栓性肺高血圧症診断の一助として
Pulmonary Hypertension Update Vol.7 No.1, 18-23, 2021
かつて難病であった肺高血圧症(PH)の予後は,治療の進歩により劇的に改善した。そのため,安静時には正常な血行動態である患者に対し,運動時PHを診断し,早期診断や治療効果判定を検討することが行われるようになった。2017年に欧州呼吸器学会より運動時PHの定義に関するステートメントが発表され,それによる臨床への検証がなされてきた。
今後は,早期発見・介入によるさらなる予後とQOLの改善,治療後に残存する運動耐容能低下への介入が重要となっている。人は,日常生活において安静にしているわけではなく,常に動的である。安静時にはわかり得ない運動時の評価を行うことで,さらなる患者アウトカムの改善に繋がると期待したい。
「KEY WORDS」運動時肺高血圧症,pre-capillary PH,post-capillary PH,QOL
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。