Theme 肺高血圧症とPRO State of the Art
肺高血圧症患者のPRO―呼吸器編―
Pulmonary Hypertension Update Vol.6 No.1, 29-36, 2020
われわれ呼吸器内科医は日々の臨床で多くの慢性疾患に遭遇する。外来診療で「咳が増えた」,「動くと苦しい」といった相談を受ける機会は非常に多いが,このような症状の悪化の陰にも多くの原因が考えられる。
なかでも今回取り扱う肺高血圧症(PH)は,慢性肺疾患に合併して呼吸器症状の悪化を呈し,QOLの低下や死亡率の増加に関連する重要な病態である。
本稿では慢性肺疾患,特に間質性肺炎に合併したPHを中心に,どのように疑い検査を進めるか,またその治療および管理について概説する。
確固たるエビデンスがまだない領域であるが,肺血管拡張薬の有用性を示す臨床試験の報告も近年みられる。また,各症例がさまざまな患者背景を有し,異なる臨床経過をたどるため,症例ごとに個別化した管理や治療を考える意義の大きい領域でもあると考える。
「KEY WORDS」肺高血圧症(PH),間質性肺炎,肺動脈性肺高血圧症(PAH),肺血管拡張薬
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。