Theme 肺高血圧症とPRO State of the Art
肺高血圧症患者のPRO―循環器編―
Pulmonary Hypertension Update Vol.6 No.1, 20-28, 2020
肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者の生命予後の著明な改善により,治療の目標が生存率の改善からQOLの向上にシフトしてきており,疾患特異的なpatient reported outcome(PRO)指標の重要性が増しつつある。Cambridge Pulmonary Hypertension Outcome Review(CAMPHOR)は,特発性PAH(IPAH)や慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH),Eisenmenger症候群などの先天性心疾患に伴う肺高血圧症(CHD-PAH)を対象とした臨床研究で多く使用され,身体面,精神面の症状,活動能力,QOLの程度を詳細に定量的に評価することができ,6分間歩行距離やNYHA機能分類と同様に予後予測因子としても有用とされる。また,薬剤やリハビリの効果判定にも使用できるが,質問項目が65項目と多く臨床現場では使用しにくい。一方,emPHasis-10は,質問項目が10項目とコンパクトにまとまっており,最近日本語版も使用できるようになり,外来診療にも有用である。今後,PRO指標を用いて,IPAHやCHD-PAH患者の負担やQOLへの影響をreal timeに評価していくことが治療管理のうえで重要である。
「KEY WORDS」特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH),Eisenmenger症候群,慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH),先天性心疾患,QOL
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。