Japan PH Registry(JAPHR)のデータを用いた最初の成果としては,『Circulation Journal』掲載論文で報告された,日本人の肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)患者における治療とその成績を解析した研究が挙げられます1)。この解析で使用されたのは2008~2013年に集積された患者189例のデータです。この期間は欧州の症例登録研究と同じプロトコールで患者を登録していたため,治療成績や予後因子などに関して他国のデータとの直接比較が可能でした。たとえば,JAPHRにおける3年生存率[88.2%,95%信頼区間(CI)81.3〜92.7](図1)はフランスのレジストリ(67%,95%CI 63〜71)2)および米国のREVEALレジストリ(68%)3)からの報告よりも優れていることが明らかとなりました4)
この論文では患者さんが多い専門医のいる主要施設を中心に2013年までに登録されたデータが解析対象でしたが,今後,JAPHRは大規模なレジストリとなりますので,第1群だけでなく,第2,3,4群が加わった幅広いデータが集積されていきます。また主要施設のみでなく,規模の小さい施設も参加されますので,リアルデータが集積されることで,さらに詳細な解析が可能になり,JAPHRを通じて日本から新たな報告が発信されることが期待されます。