Theme 第6回肺高血圧症ワールドシンポジウム―併用療法― State of the Art
成人肺動脈性肺高血圧症 定義・診断アルゴリズムの改訂と“deep phenotyping”
Pulmonary Hypertension Update Vol.5 No.1, 30-36, 2019
第6回肺高血圧症(PH)ワールドシンポジウムではPHの病因,診断,治療の現況および今後の課題などが広く議論された。そのなかで,本稿では第1に「定義と診断アルゴリズムの改訂」に焦点をあて概説する。定義と診断アルゴリズムの変更はPHの早期診断・予後改善を目指すうえで重要な影響をもたらすと想定される。第2に「右心形態・機能」につき解説する。PHでは右室形態・機能が症状や予後に極めて大きな影響を及ぼす。臨床的な観点で概念の整理や最近の進歩を紹介する。最後に「典型的ではない」肺動脈性肺高血圧症につき述べる。近年,PH症例の高齢化やさまざまな危険因子・合併症の並存の重要性が指摘されている。それらに関連する最近の報告や考えられる実臨床への影響についてレビューする。今後のPH診療では,肺動脈圧測定による早期診断確定に留まらず,心理・精神面を含めた正確な全身状態の把握,そしてそのうえで個々の症例に最適な診療が提供されることが求められている。
「KEY WORDS」早期診断,右心形態,画像診断,left heart phenotype,pulmonary phenotype,deep phenotyping
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。