肺高血圧症(pulmonary hypertension:PH)は5群に分類され,近年の肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)治療薬(肺血管拡張薬)の目覚ましい開発により,第1群PAH患者のQOL・予後は著明に改善している。本邦では早期からの積極的な多剤併用・降圧治療により,極めて良好な予後を達成した1)。ここで,担癌患者の約3%には肺動脈腫瘍塞栓微小血管症(pulmonary tumor thrombotic microangiopathy:PTTM)を生じると報告され2),そのなかにはPHを急速に発症・進行し,予後不良の第5群PH病態(PTTM-PH)をきたすとされる。生前診断すら困難であるPTTM-PHではあるが,われわれは診断のみならずPHコントロールにも成功し以前報告した3)。このPTTM-PHの診断・治療に関して改めて紹介・考察してみたい。