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Theme 多剤併用療法が拓く肺高血圧症診療の未来 State of the Art

先天性シャント性心疾患に伴う肺動脈性肺高血圧症

八尾厚史

Pulmonary Hypertension Update Vol.3 No.1, 22-33, 2017

特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)に対する積極的な肺動脈性肺高血圧症(PAH)治療薬の増量・多剤併用による強力な降圧療法により,本邦でのIPAH治療成績は目覚ましく改善した。成人先天性心疾患(ACHD)領域のシャント性PAH(sPAH)は,薬剤反応性・病理組織所見においてIPAHと非常に類似しており,同様の治療が著効する可能性がある。しかしながら,IPAHと異なり,ACHD-sPAHでは,シャント修復前後において治療指針を分けて考える必要性がある。シャント修復後sPAHに関してはIPAHと血行動態も類似するため,その治療指針は同様と考えられる。一方,シャント未修復sPAHに関してのシャント修復を含めたsPAH治療に関してはいまだ治療目安すらなかった。一方実臨床の世界では,PAH治療薬開発後の現代においては不可逆性進行性病態とされてきたEisenmenger症候群に属する症例にも一部シャント閉鎖の可能性すらうかがえるようになってきた。PAH多剤併用時代のsPAH治療指針を筆者の症例経験から総合的に論じてみたい。
「KEY WORDS」シャント,先天性心疾患,肺動脈性肺高血圧症,Eisenmenger症候群,treat & repair

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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