近年,本邦で飛躍的な普及を遂げた¹⁸F-fluorodeoxy (FDG) Positron Emission Tomography(PET)は,グルコース類似体である¹⁸F-FDGが糖代謝の盛んな腫瘍細胞に集積することを利用して,各種腫瘍の評価に利用されている。これまで乳癌においても¹⁸F-FDG PETの臨床的有用性が検証されてきたが,従来の全身用PET装置には空間分解能の制約があり,サイズの小さい乳房内病変の評価において限界が知られてきた。
乳房専用PET装置(dedicated breast PET:dbPET)は,乳房の撮像に特化した近接撮像型のPET装置である。検出器を標的乳房に近接させること,ガンマ線を感知するクリスタルの結晶を密に配列すること,乳房・胸壁の固定により呼吸性変動の影響を抑制することなどで,従来型装置よりも高い空間分解能と感度を達成する設計となっている。