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CASE REPORT(Thyroid Cancer Explore)

レンバチニブ投与中のフレア現象にて休薬,減量に苦慮した1例

川越志穂梶谷竜裕内野慶太

Thyroid Cancer Explore Vol.3 No.2, 82-86, 2017

症例は68歳,女性。甲状腺左葉原発の甲状腺癌に対して,前医にて1984年5月に甲状腺亜全摘および左頸部リンパ節郭清を実施し,甲状腺乳頭癌およびリンパ節転移stage Ⅲと診断した。1995年1月には頸部リンパ節への転移再発を認め,甲状腺右葉切除術,頸部リンパ節切除を施行,2009年1月頃より両側肺への転移を認め,無治療で経過をみていたが徐々に増大傾向にあったことから2016年6月より放射性ヨード内容療法(3700MBq)を施行した。しかし,病勢の進行を認めヨード抵抗性と判断され,分子標的薬導入目的で当院へ紹介となった。2016年7月19日よりレンバチニブ24mgで導入した。治療により病変は縮小を認めたが,有害事象として蛋白尿を認め,8月24日よりレンバチニブを休薬した。蛋白尿は改善するも胸水貯留が急激に増悪し,同薬の再開により改善した。治療継続により再度蛋白尿の増悪を認めたが,胸水貯留の増悪を懸念して10月17日よりレンバチニブを減量したところ,胸水貯留は再度増悪し,11月18日に入院,約1週間休薬ののちに胸膜癒着術を施行し,胸水の管理は可能となった。レンバチニブ休薬・減量によるフレア現象を疑う胸水貯留の急激な増悪に対し,胸膜癒着術により胸水の管理が可能となり,治療が継続できた症例を経験したため,文献的考察を加えて報告する。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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