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Molecular Biology Lecture

VEGFとVEGF受容体:血管新生の中心的制御系

渋谷正史

Thyroid Cancer Explore Vol.3 No.1, 50-55, 2017

魚類から哺乳類に至るまですべての脊椎動物は閉鎖血管系をもち,組織へ酸素と栄養素を供給すると共に老廃物の回収を行っている。血管系は多くの疾患と深く関わっているが,現代日本において死因の第1位を占める「癌」に関しても,1970年代に米国のFolkman博士は血管新生を介した癌の増殖促進を観察し,腫瘍血管阻害剤が新しい抗癌剤となるとの仮説を提唱した。ただ,当時は血管新生の分子機構についての理解が十分でなく,標的物質が不明であった。1980年代後半より1990年前半に至り,血管新生の中心的シグナル伝達系である血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)とその受容体系が明らかとなり,それを標的にした抗癌剤が広く臨床応用されるに至っている。本稿ではVEGF系と癌の関連を紹介すると共に,白血病,その他の疾患との関連や,残された問題点を述べたい。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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