このディベートセッションではTSH(thyroid stimulating hormone)抑制療法を甲状腺分化癌に対する甲状腺全摘施行後に甲状腺ホルモン製剤を過剰投与することにより内因性のTSHを抑制し,予後を改善する目的で施行する治療法として論を進める。ここではTSH抑制の程度を厳格な抑制(<0.01mU/L),中程度の抑制(0.1mU/L前後),軽度の抑制(0.4~0.5mU/L)と定義する。TSH抑制療法の理論的背景,予後改善に対する影響,有害事象に対する影響に主に焦点を当てて論ずる。
そもそも全摘術の適応にならない低リスク乳頭癌(T1N0M0),微少浸潤型濾胞癌は再発,生命予後とも極めて良いので,TSH抑制療法の対象にはなり得ない。葉切除後にTSHが上昇して,潜在的甲状腺機能低下症になった場合はTSHを正常範囲内でコントロールすればよいと思われる。
そもそも全摘術の適応にならない低リスク乳頭癌(T1N0M0),微少浸潤型濾胞癌は再発,生命予後とも極めて良いので,TSH抑制療法の対象にはなり得ない。葉切除後にTSHが上昇して,潜在的甲状腺機能低下症になった場合はTSHを正常範囲内でコントロールすればよいと思われる。