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State of the Art(Thyroid Cancer Explore)

【臨床】 甲状腺濾胞癌の臨床

杉野公則

Thyroid Cancer Explore Vol.2 No.2, 32-38, 2016

甲状腺癌の診断は最終的に病理診断に基づくが,濾胞癌においては病理医により診断が異なる可能性があるという。術前診断から病理診断まで不確実性に満ちた本疾患に対して,臨床医としての確実な対処はなかなか難しい。
現状のルーチンの診断方法では術前診断は不可能と考え,腺腫も含めた濾胞性腫瘍の診断に努力すべきである。濾胞癌の予後や予後因子を含めた生物学的振る舞いをよく知ることで手術適応も決まってくる。当院での検討では濾胞癌の予後因子は年齢,腫瘍径,術前遠隔転移,浸潤形式であった。また,微少浸潤型濾胞癌においても遠隔転移は稀ではなく,年齢が遠隔転移,生命予後の有意な因子であった。
本疾患の診断が脆弱なものであることを患者によく説明しておくことも肝要である。乳頭癌に比して発表されている臨床データが少ないことも本疾患の理解の妨げになっている一因でもある。今後,多くの施設からの臨床データがもたらされることで本疾患の理解がより深まることを期待する。
「KEY WORDS」甲状腺濾胞癌,濾胞性腫瘍,手術適応,予後因子,遠隔転移

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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