日本内分泌学会
(内科)甲状腺全摘術後,血清サイログロブリン感度以下の甲状腺床の検討
第88回日本内分泌学会学術総会 会期:2015年4月23~25日 会場:ホテルニューオータニ東京
Thyroid Cancer Explore Vol.2 No.1, 63-65, 2016
「はじめに」ヨウ素131(131I)を用いた放射性ヨード内用療法による甲状腺全摘術後の残存甲状腺組織の除去をアブレーションと呼ぶ。『甲状腺腫瘍診療ガイドライン』では,甲状腺全摘術後に,約90%でわずかに甲状腺組織が残存し,残存甲状腺組織の存在は,血清サイログロブリン(thyroglobulin;Tg)値を用いた術後経過観察を困難にする可能性があり,ハイリスクと評価される甲状腺全摘となった症例においては,微小な腫瘍組織の残存による局所再発の危険性も否定できないため,経過観察や局所制御の妨げとなりうる残存甲状腺組織を完全に取り除くことが望ましいとなっている1)。しかし,甲状腺髄様癌の甲状腺全摘症例の連続22例で手術後の血清Tg値は感度以下であり,適切に甲状腺全摘術を施行した場合には,アブレーションを行わなくても,術後の血清Tg値が再発の指標となると報告されている2)。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。