State of the Art(Thyroid Cancer Explore)
(臨床)偶発型甲状腺未分化癌
Incidental anaplastic thyroid carcinoma
Thyroid Cancer Explore Vol.2 No.1, 32-37, 2016
「Summary」術後の病理検査で偶発的に発見された甲状腺未分化癌(ATC)の実態はいまだ十分に理解されていない。そこで甲状腺未分化癌研究コンソーシアムに登録された偶発型ATCの特徴を調べ,どのように取り扱うべきかを検討した。偶発型ATCは,腫瘤径が2cm程度のものが多く,ほとんどが乳頭癌と併存していた。このことより偶発型ATCは乳頭癌の未分化転化の初期に相当するものが多いと考えられた。また,偶発型ATCの約半数は癌死せず長期生存が可能であった。偶発型ATCの予後因子として有意差の存在したものは腫瘤径のみであり,術後の放射線外照射や化学療法の有用性を統計学的に示すことはできなかった。しかし,治癒切除例で手術のみの場合約3分の2が癌死していたが,術後adjuvantとして放射線外照射および化学療法の両者を行ったものでは癌死したものはいなかった。偶発型ATCは治癒する可能性がある癌であり,術後には可能な限りadjuvantとして放射線外照射や化学療法を行うべきと考えられた。
「Keywords」偶発型未分化癌,未分化転化,長期生存,術後追加治療
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