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Doctor Interview

精神疾患への正しい知識普及により早期発見・介入につなげ,患者さんの社会機能維持を目指す

水野雅文

精神科臨床 Legato Vol.8 No.3, 48-51, 2022

東邦大学医学部精神神経医学講座は,初代の新井尚賢教授以来,社会精神医学領域の研究活動が盛んで,前任の菅原道哉教授,さらに前任の鈴木二郎教授なども心理社会的リハビリテーションを積極的に手がけてこられた歴史があります。
その一環として,東邦大学医療センター大森病院では患者さんの社会参加・社会復帰を目指したデイケアを展開していましたが,慢性期の患者さんが増えてくると利用者が固定化し,年齢も上がっていく状況でした。若い患者さんにしてみれば自分よりずいぶん年上の男性ばかり,禁煙の風潮もない時代はタバコの煙がモクモクとしていて,室内に足を踏み入れるのも怯まれる環境だったと思います。
その頃すでに,統合失調症に早期介入することで,社会機能低下や再発リスクの低減,入院必要性の減少など,予後をよくするという研究が出始めていました。精神疾患を発症しやすいとされる思春期・青年期前期への早期介入と包括的な支援を実践する場として,2007年に通所型早期精神病ユニット(early psychosis unit:EPU)をオープンしました。「イルボスコ」(イタリア語で森の意。大森の地名にちなむ)の愛称を付けたのは,EPUの側面を強調した名称にすると,精神疾患に対するスティグマから本人や家族が利用しづらいのではないかと考えたためです。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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