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Psychiatric Lecture

成因・危険因子 糖尿病およびその合併症とうつ病との関連

─DIACET研究を中心に

西村勝治石澤香野馬場園哲也

精神科臨床 Legato Vol.6 No.3, 18-23, 2020

身体疾患とうつ病との関係が注目されている。うつ病は身体疾患患者において高頻度に発症し,生活の質(QOL)を低下させるばかりでなく,身体疾患の受療行動・診断・治療を遅らせ,予後(再発や死亡リスク)をも悪化させる。なかでも糖尿病は,心筋梗塞,脳卒中と並んでうつ病との関係について多くのエビデンスが蓄積されてきた疾患の1つである1)
これらのエビデンスは主に海外において蓄積されたものであるが,最近,本邦においても大規模なコホート研究が着手された。2012年に始まった東京女子医科大学糖尿病センターの「糖尿病患者の診療実態に関する前向き研究(Diabetes Study from the Center of Tokyo Women’s Medical University;DIACET)」であり,すでにいくつかの横断研究の成果が公開されている2)-4)
本稿では,糖尿病およびその合併症とうつ病との関係について最近の知見をレビューし,海外のエビデンスに照らしながらDIACET研究の知見を紹介する。なお,ここでは自己記入式質問票などに基づく広義のうつを「うつ病(depressi on)」,診断基準による狭義のうつを「大うつ病性障害(major depressive disorder)」として区別する。
「KEY WORDS」糖尿病,糖尿病合併症,うつ病

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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