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Psychiatric Lecture

成因・危険因子 統合失調症の認知機能障害と介入

功刀浩

精神科臨床 Legato Vol.6 No.1, 18-21, 2020

―統合失調症患者の認知機能障害は,認知症へと進行するのでしょうか。
統合失調症の主な徴候として,幻覚・妄想などの精神症状とは別に認知機能障害が知られています。臨床では,多くの統合失調症患者において記憶や学習,知能,実行機能,情報処理などの低下が認められますが,これらの病態生理学的な機序についてはいまだ明らかではありません。そのため,時間経過とともに認知症に進展するかは議論のあるところです。統合失調症患者が高齢になると認知症に類似した病像を示すという見方もありますが,臨床的な印象として,認知症を発症した統合失調症患者はあまりみかけないと言えます。
その理由の1つとして,統合失調症患者の平均寿命が一般健常者に比べて短いことが挙げられます。欧米の研究では,一般人口の平均寿命76歳(男性72歳,女性80歳)に対し統合失調症患者の平均寿命は61歳(男性57歳,女性65歳)と,約20%短いことが報告されています1)2)。つまり,統合失調症患者は,認知症発症の最大のリスクファクターである加齢の影響を受けにくく,そのために発症率が低いという臨床的印象につながっている可能性があります。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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