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Evidence Explanation

ディープラーニングによる心理療法の治療内容とアウトカムの相関の定量化

渡辺範雄

精神科臨床 Legato Vol.5 No.3, 42-43, 2019

認知行動療法(cognitive behavioral therapy;CBT)は認知モデルを基盤にした治療法で,さまざまな状況でその時々に自動的に沸き起こってくる思考やイメージ(自動思考)に焦点を当てて治療を進めていきます1)。治療は対面式の面接が中心で,1セッションは①チェックイン,②ホームワーク(宿題)の振り返り,③アジェンダ(議題)の設定,④アジェンダについての話し合い,⑤ホームワークの決定,⑥セッションのまとめ/フィードバックで構成されます。ホームワークは面接で話し合ったことを患者さんが実生活で実践し,認知や行動を変えることで症状を緩和するための必須課題となっています。
従来,CBTは臨床試験での結果が良好であっても,治療内容の質の評価が難しく,その成果を実臨床へ応用することは難しいとされてきました。CBTの臨床試験では治療介入の質の評価にあたって,チェックリストを使った方法や,介入中の治療者と患者さんとの間の会話を書き起こし,「発話」(話し手のまとまった考えを示す最小単位)に細分化して,その機能と内容によってカテゴリー分類,数量化する手法があります。ただし後者の手法は前者と比較して内容を詳しくみることができる反面,多くの時間や労力を要するため,より簡便に分析・評価する新たな手法が求められています。
そこで今回は,人工知能による機械学習の1つであるディープラーニングを用いてCBTの会話内容(逐語録)を分析し,治療内容と改善効果の相関を検討した2019年の研究を紹介します2)

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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