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Culture in Psychiatry

サリンジャーの『大工よ,屋根の梁を高く上げよ』・『バナナフィッシュにうってつけの日』

高橋正雄

精神科臨床 Legato Vol.5 No.2, 50-51, 2019

1955年にサリンジャーが発表した『大工よ,屋根の梁を高く上げよ』には,自分の結婚式を欠席するなどして周囲から「精神分裂症」ではないかと疑われるシーモアという青年が描かれている。
1942年6月,この物語の語り手である主人公は,長兄シーモアの結婚式に出席するためにニューヨークを訪れた。ところが,ぎっしり人が詰めかけている部屋に案内されたものの,一向に式が始まる様子がない。ようやく予定の時間を1時間20分ほど過ぎた頃,頭をうなだれた未婚の花嫁が,病人のような様子で両親に支えられながら階段を降りてきたかと思うと,そのままハイヤーに乗せられて立ち去ってしまった。花婿のシーモアが式場に現れなかったためだが,その後花嫁の母親はシーモアを「本物の精神分裂症の傾向を持った人」とみていることが判明する。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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