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Psychiatric Lecture

疫学 統合失調症患者における低体重の有病率:メタ解析

菅原典夫

精神科臨床 Legato Vol.5 No.2, 12-16, 2019

―本研究1)は,あまり注目されることのない統合失調症患者の低体重の有病率に関するメタ解析ですが,先生が低体重に興味をもたれたきっかけを教えてください。
統合失調症患者が一般人口に比べ肥満の頻度が高い傾向にあることは,これまでの研究から知られているとおりです。肥満はインスリン抵抗性,高血圧,脂質異常やメタボリックシンドロームなどの代謝異常を引き起こしますが2),統合失調症患者ではこれらをリスク因子として,心血管疾患の罹患率および死亡率が高まっていると考えられています3)-5)
一方で,2008年にKitabayashiらがわが国の統合失調症入院患者の体格指数(body mass index;BMI)を検討し,肥満のみならず低体重も注目すべき課題であると指摘しています6)。その後しばらく体重に関しては肥満の問題に関心が向けられ,国内の低体重の研究には空白期間がありましたが,2012年にInamuraらが統合失調症の入院患者のBMIを調査し,一般人口に比べ低体重の有症割合が高いことを報告している7)ほか,2014年にはSuzukiらが,統合失調症の入院患者は一般人口と比較して低体重の有症割合が高く,低蛋白血症や低コレステロール血症の頻度も高いことなどを報告しています8)
2015年にはSugaiらが23,116名の成人統合失調症患者を対象に身体的リスクの検討を行い,統合失調症の入院患者は外来患者に比べ低体重の割合が高く,なかでも40歳以上では外来患者や一般人口よりも入院患者における低体重の割合が高いこと,低コレステロール血症の患者の割合が高いことなどを報告しています9)。この研究が画期的であったのは,外来(520施設,7,655名)と入院(247施設,15,461名)を分けて検討し,低体重を入院患者の問題として指摘した点にあるといえます。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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