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Psychiatric Lecture

成因・危険因子 せん妄の原因・危険因子

井上真一郎

精神科臨床 Legato Vol.5 No.1, 18-23, 2019

―せん妄の定義について教えてください。
せん妄は,DSM-51)の診断基準を要約すると,短期間で出現する注意と意識の障害がその本態であり,症状に日内変動を認める点が大きな特徴です。DSM-5では,新たに「過活動型」,「低活動型」,「活動水準混合型」という特定用語が設けられ,これらのサブタイプ分類が求められるようになりました。その目立つ症状のため,臨床現場で問題視されるのは過活動型せん妄であり(表1),これまで治療や研究の対象となってきたのはほとんどがこのタイプのせん妄だったといっても過言ではありません。しかし,実際のところ,高齢患者やがん患者などにおいては過活動型せん妄より低活動型せん妄のほうが多いにもかかわらず,見逃されやすいことが指摘されています2)。低活動型せん妄は家族や医療者にとって問題とならないことが多く,倦怠感などによる活動性の低下やうつ病・うつ状態などと誤解されてきました。その点を考慮すると,DSM-5で低活動型せん妄が取り上げられたことは,より臨床に即した内容になったと評価できます。一方で,せん妄の症状のなかでも特に頻度の高い注意力障害と睡眠覚醒リズム障害のうち,睡眠覚醒リズム障害については明確に記載されていないという問題点があります。せん妄と睡眠覚醒リズム障害は密接な関連があると考えられ,十分に注意する必要があります。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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