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Trends in Psychiatry

書籍『子どものための精神医学』

滝川一廣

精神科臨床 Legato Vol.4 No.2, 42-45, 2018

─本書では発達障害を,「精神発達のおくれ」と「生きにくさ」と定義されていますね。
人間とは,生まれつき,背の高さにしろ足の速さにしろ,必ず個人(個体)差をもつ存在です。その個体差は多数の要素の積み重ね,遺伝子でいえば何種類もの遺伝子の組み合わせによって確率論的に決まり,正規分布を描きます。身長でいえば,全員が平均身長に集まることはなく,平均より背が低い,あるいは高いという広い幅の差が自然にあらわれます。それと同じように,発達の歩みについても,平均より一定以上おくれる子どもが必ずいるのです。よって発達障害とは,個体差として発達が大きくおくれたものを指す,そう捉えるとよいでしょう。
発達障害の「障害」という用語は,どこかに故障がある印象を含みますが,決してそうではありません。自然現象としての個体差によって,発達の歩みのおくれは一定の確率で生じざるをえないのですが,それは決して故障や病的な現象ではないというのが私の考え方です。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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