─澤先生が精神科医の道を選ばれた経緯を教えてください。
さわ病院の歴史は私の父 澤潤一が1952年に澤神経科難波診療所,1953年に澤神経科服部病院(64床)を開設したことに始まります。それ以前の父は,自宅にベッドを持ち込んで有床診療所として診療を行っていました。そのため,子どもだった私は患者さんのご家族に近所で遊んでもらうこともあるなど,地域と一体となった精神医療を身近に感じて育ちました。
学生の頃は医師以外の道や精神科以外の専門領域に興味を抱いたこともありました。しかし,人間は突き詰めると“bio-,psycho-,social”な存在であり,これらの要素すべてを網羅し,収斂していくのが精神医療であると考え,精神科医の道を選びました。大学卒業後は研究・臨床経験を積みながら1977年より当院でパート勤務を始め,1986年に副院長,翌1987年に理事長・院長に就任しました。