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Psychiatric Lecture

成因・危険因子 精神科入院患者における院内肺炎の特徴と重症化因子

岡田剛史須田史朗

精神科臨床 Legato Vol.4 No.1, 17-20, 2018

―身体合併症としての肺炎に注目された理由を教えてください。
肺炎は,精神科入院患者における身体合併症のうち約15%を占めており,主要な身体合併症の1つであるとともに,最大の死亡原因となっています1)2)。また,統合失調症やうつ病患者における肺炎発症のリスクは,健常者より高いことも報告されています3)4)
精神疾患患者がなぜ肺炎に罹患しやすいかを考えると,疾患そのものによる意識障害,栄養状態不良,免疫機能の低下,口腔内不潔,早食いなどに加え,抗精神病薬をはじめとする向精神薬による嚥下機能低下,パーキンソン症状,認知機能低下など,独特の生物学的機序を有すると考えられます。治療薬との関連については従来,精神科入院患者における肺炎の原因として,抗精神病薬や抗パーキンソン薬など,治療薬との関連を指摘する報告が相次いでなされてきました。
たとえば精神科では,顕性誤嚥より不顕性誤嚥が多いことが知られていますが,これは抗精神病薬の投与により,嚥下反射および咳反射の重要なトリガーとなるサブスタンスPの放出が減少するためと考えられます。また,双極性障害患者においていくつかの抗精神病薬が用量依存的に肺炎発症のリスクを上昇させることや,わが国の精神科入院患者を対象とした研究でも,誤嚥性肺炎発症群は対照群と比べ抗精神病薬の使用量が有意に多い,あるいは抗パーキンソン薬の使用が肺炎発症のリスクファクターであるとする報告があります。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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