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Culture in Psychiatry

世界で初めて「女性」になった男性と,その「妻」の物語

―リリーのすべて―

小澤寛樹

精神科臨床 Legato Vol.3 No.1, 58-59, 2017

長年連れ添ったパートナーから(「長年」という言葉の定義は各人に委ねますが),突然の別れを切り出されるというのは大変につらいものです。私にも若干の覚えがあります。これが嫌いになったからだとか,別に好きな人ができたからという理由であれば,その時はつらくてもやがて時間が解決してくれることでしょう。ですが,これが「自分の性別が違っていたから」という理由だとしたらどうでしょう。ショックの大きさを数値化し比較するのはナンセンスかもしれませんが,知った際に受ける衝撃は計り知れないものがあると思います。そういった意味で,今回取り上げる映画『リリーのすべて』は,世界初の性別適合手術(sex reassignment surgery;SRS)を受けることを決心したリリー・エルベの映画であると同時に,リリーにその決意を告げられてからも彼女を支え続けた妻ゲルダの物語でもあります。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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