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State of the art 大腸癌取扱い規約 第9版

肛門管癌の進行度分類における問題点

山田一隆佐伯泰愼高野正太岩本一亜福永光子田中正文野口忠昭中村寧深見賢作濵田博隆桑原大作裵惺哲辻順行高野正博

大腸がんperspective Vol.4 No.4, 48-54, 2020

肛門管癌TNM分類第8版における主な変更点は,肛門管部位の定義,N因子(外腸骨リンパ節の追加とN1a,b,cへの一本化)およびStagingの細分化である。欧米での肛門管癌の多くは扁平上皮癌であるのに対し,本邦における肛門管癌は発生頻度が低いとともに,明らかに腺癌がもっとも多く,扁平上皮癌症例が非常に低率である。また,肛門管癌(扁平上皮癌)症例におけるT因子(T1,T2,T3;腫瘍径)は,直腸癌TNM分類のT因子(壁深達度)との相関性は認められなかった。肛門管癌(扁平上皮癌)の治療戦略は化学放射線療法であるが,肛門管癌(腺癌)の治療戦略は直腸癌と同じく手術療法である。腺癌症例に対する側方リンパ節郭清などの治療戦略を考慮し,T因子の評価に関する課題などがあげられた。それらに基づき,腺癌症例では肛門管部位を従来の外科学的肛門管とするとともに,直腸癌と同様な概念に基づいた評価による個別のTNM分類を検討することが考慮される。
「KEY WORDS」肛門管癌,扁平上皮癌,腺癌,TNM分類,化学放射線療法(CRT)

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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