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State of the art 大腸癌取扱い規約 第9版

改訂の理念と新たな進行度分類

固武健二郎

大腸がんperspective Vol.4 No.4, 24-28, 2020

2018年7月,大腸癌研究会は『大腸癌取扱い規約 第9版』を刊行した。主要な改訂点は,大腸癌と虫垂癌・肛門管癌の進行度分類である。欧米に比して罹患率が低く,わが国独自のエビデンスが必ずしも十分ではない虫垂癌,および肛門上皮や肛門腺,ないしその導管から発生する肛門管癌にはTNM分類第8版の進行度分類を適用することとした。一方,大腸癌に関しては,規約が主リンパ節と側方リンパ節(N3)を区分する独自のリンパ節転移分類を採用していること,規約のEXとTNM分類の腫瘍デポジットの定義と取扱いが異なることから,TNM分類に歩み寄りつつも,より予後分別能の高い独自の進行度分類に改訂した。大腸癌の進行度分類を構成する因子のなかでは,N1をN1aとN1b,N2をN2aとN2bに細分類し,壁深達度T4aの定義を胃癌取扱い規約に準じて改訂した。遠隔転移では,腹膜転移をTNM分類に準じてM1cとし,腹膜転移に区分されていた卵巣転移は遠隔転移に分類することとした。
「KEY WORDS」大腸癌,大腸癌取扱い規約,TNM分類,進行度分類,主リンパ節・側方リンパ節転移(N3),腫瘍デポジット

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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