今世紀に入って大規模なトランスクリプトーム解析が行われるようになり,ヒトゲノムの全貌が明らかになるにつれて,今まで転写の際に生じたジャンクと考えられていた,タンパク質にコードされないRNA(non-coding RNA;ncRNA)が注目されるようになってきた。ncRNAのなかでも,短鎖のmicro RNA(miRNA)に関してはきわめて多くの詳細な研究がなされる一方で,今回概説する長鎖ノンコーディングRNA(long non-coding RNA;lncRNA)は近年その重要性がようやく認識され,現在急速に研究されている分野である。本稿では,さまざまな疾患に関与するlncRNAのなかで,大腸癌との関係があるlncRNAを中心に,代表的な癌遺伝子c-MYCや癌抑制遺伝子p53との関係などについて概説する。
「KEY WORDS」lncRNA,大腸癌,p53,c-MYC