State of the art 腫瘍免疫研究の最前線
免疫チェックポイント阻害薬
大腸がんperspective Vol.4 No.2, 20-25, 2019
がん免疫逃避機構を解除することを目的とした免疫チェックポイント阻害薬の登場により,がんに対する新たな標準療法として免疫療法が認識される時代が到来している。免疫チェックポイント阻害薬には,主にT細胞のpriming phaseで作用する抗CTLA-4抗体と,effector phaseで作用する抗PD-1/PD-L1抗体が臨床応用されており,既存の標準療法に不応となった進行がんに対して治療効果を示している。免疫チェックポイント阻害薬は長期の効果持続,遅延性の効果発現,偽増悪や免疫関連有害事象の出現など,従来のがん治療薬とは異なる特性を有しており,その作用メカニズムの理解や適切な対処法に関する知識が求められる。一方,免疫チェックポイント阻害薬が奏効する症例は2~3割程度であり,がん細胞の遺伝子変異量やPD-L1発現レベルを始めとした治療効果予測バイオマーカーの同定や,他の治療法との組み合わせによる複合的がん免疫療法の開発が重要な課題である。
「KEY WORDS」CTLA-4,PD-1,PD-L1,がん新生抗原,バイオマーカー
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。