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画像診断との対比で学ぶ大腸疾患アトラス

生検標本における大腸早期癌とdesmoplastic reaction

藤盛孝博伊藤利江子田代敬市川一仁岡本陽祐藤尾誓柏木亮一荒尾潤佐野寧

大腸がんperspective Vol.4 No.2, 4-9, 2019

Desmoplastic reaction(DR:間質反応)とは癌細胞が浸潤する際にみられる間質での線維芽細胞等の増生する状態で,大腸癌では浸潤するにしたがってみられるといわれている。癌細胞のαvβ6 integrinが何らかの形でTGF-β1(transforming growth factor-β1)を活性化し,間質内の正常な線維芽細胞を筋線維芽細胞に分化転換(transdifferentiation)させるといわれている。さらに,癌に伴う間質のfibroblastsが腫瘍のprogressionに関与するという報告もある。生検材料におけるDRの存在は,癌が粘膜下層深部まで浸潤していることを想定できる所見と考えられる。また最近ではmatrix crosslinking forcesなどの論文も認められ,癌の局所での発育進展と間質とのかかわり合いが注目されている。
大腸SM癌では,pSM癌をpSM1(<1,000μm)とpSM2(≧1,000μm)に二分することが臨床病理学的に重要な因子であるとの認識から『大腸癌取扱い規約』,『大腸癌治療ガイドライン 医師用2016年版』いずれにも標準化を目指し記載されている。その一方でnarrow band imaging(NBI)システムやFUJI intelligent chromo endoscopy(FICE)などといった拡大観察でpSM1とpSM2の判別が可能になってきているが,広く一般化するには現状では限界がある。そこで,今回,通常内視鏡の観察および生検で診断可能なDRおよびその診断意義について診断のポイントを本項でとりあげることにした。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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