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Catch Up 分子生物学

癌におけるエクソソームの機能解明

藤野志季三吉範克高橋秀和原口直紹西村潤一畑泰司松田宙水島恒和土岐祐一郎森正樹

大腸がんperspective Vol.4 No.1, 59-63, 2018

エクソソームの発見は1980年代と古く,細胞の排泄器官であると考えられてきた。近年,エクソソームのなかに含まれるタンパク質やRNAが他の細胞に影響を及ぼすことが明らかとなり,細胞間の情報伝達において重要な機構であることから注目されている。癌においても,正常細胞のエクソソームを利用して自らの増殖や転移を促進したり,自らのエクソソームで周囲の正常細胞を変化させ,増殖しやすい環境を作り出している可能性がある。癌と正常細胞におけるエクソソームを介した情報伝達機構を明らかにすることは,癌の増殖や転移のメカニズムの解明に大きく寄与し,新たな治療のターゲットを見出せる可能性もあり,今後のさらなるエクソソーム研究の発展が期待される。
「KEY WORDS」エクソソーム,癌,癌関連線維芽細胞(CAF),Wnt シグナル経路,Dicer

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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