State of the art クローン病合併癌の診断と治療
大腸癌
大腸がんperspective Vol.4 No.1, 39-45, 2018
潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis;UC)では慢性炎症に伴う大腸癌(colorectal cancer;CRC)のリスクがよく知られているが,クローン病(Crohn’s disease;CD)においても長期経過例の蓄積に伴いCD合併CRCの報告が増えている。今日ではCDでもUC同様にCRCのリスクが高いことがわかり,CD合併CRCのサーベイランスによる早期診断および治療の確立が急務である。しかし,UC合併CRCと比較してCD合併CRCに対する取り組みの標準化は遅れている。欧米のガイドラインはCDにおいても,UC合併CRCサーベイランスに準じた内視鏡によるスクリーニングを推奨している。CD合併CRCが右側結腸に多く,直腸癌のリスク上昇がないとされる欧米と異なり,直腸肛門部にCD合併CRCが多いわが国の症例の特徴を踏まえたサーベイランスの確立が待たれる。治療についても,大腸全摘術が標準手術として確立しているUCと異なり,CD合併CRCに対する標準術式は確立されていない。術後症例の集積による長期成績の検討が期待される。
「KEY WORDS」クローン病,大腸癌,サーベイランス,手術
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