State of the art クローン病合併癌の診断と治療
クローン病合併癌の診断,治療の現況と課題
大腸がんperspective Vol.4 No.1, 28-32, 2018
クローン病に合併する悪性腫瘍として消化管では食道癌,胃癌,小腸癌,大腸癌があげられ,これらのうちで小腸癌,大腸癌は一般人口に比べて多い。小腸癌の合併は稀であるが,相対危険度は非常に高く,早期診断は困難である。大腸癌は欧米では結腸癌が多いが,本邦では痔瘻癌を含む直腸肛門管癌が多く,長期経過例が増加した近年,徐々に増加し,進行癌で発見されることが多いために予後は不良である。現状では狭窄症状の進行,下血などの臨床症状の変化に留意し,癌合併を念頭に置いて積極的な細胞診,組織診が必要と考えられる。厚生労働省「難治性炎症性腸管障害」に関する調査研究班で作成したクローン病に合併した直腸肛門管癌の癌サーベイランスプログラムに基づいて診断を行うとともに,その有用性をさらに多数例で検証していくことが重要である。
「KEY WORDS」クローン病,悪性腫瘍,癌サーベイランス
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