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大腸癌の内視鏡Up-to-date

歯状線に接した病変に対するESDのコツとピットフォール

岡志郎田中信治田丸弓弦茶山一彰

大腸がんperspective Vol.3 No.4, 64-69, 2017

従来,内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection;EMR)では分割切除せざるを得なかった大きな大腸腫瘍も局在にかかわらず内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection;ESD)にて一括切除できるようになった。現在,ESD用デバイスや処置用スコープの開発・改良,手技の工夫により大腸ESDの技術的ハードルは導入初期より明らかに低くなり一般化しつつある1)2)
歯状線に接する下部直腸病変に対するESDにはその局在に応じた工夫が必要である。下部直腸病変に対するESDの特殊性として,①直腸粘膜下層には静脈叢(痔核を含む)が発達しているため術中・術後出血の高リスク,②歯状線を境に肛門側に存在する扁平上皮領域の知覚神経により治療中に痛みを伴いやすいこと,③肛門括約筋の近接による狭い管腔により展開した良好な視野が得られないこと,などがあげられる。
本稿では歯状線に接する直腸腫瘍に対するESDのコツとピットフォール,および当科の治療成績について述べる。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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