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Catch Up 分子生物学

いまさら聞けないEMT(epithelial-mesenchymal transition):基本的概念から最新の知見まで

大原信福原口直紹三吉範克高橋秀和西村潤一畑泰司松田宙水島恒和山本浩文土岐祐一郎森正樹

大腸がんperspective Vol.3 No.4, 54-57, 2017

上皮間葉転換(epithelial-mesenchymal transition;EMT)とは上皮細胞が間葉系細胞の形質を獲得する現象であり,初期胚の発生,臓器形成,組織修復時などでみられる。癌細胞では,おもに癌細胞の転移形成過程における多段階的なステップの初期過程において関与しているとされており,周囲環境因子と多種多様な内因性因子が複雑に,かつ,相互的に作用することで誘導されている。
EMTが誘導された癌細胞は浸潤能や転移能を獲得するとされており,近年ではEMTを抑制阻害することで抗腫瘍効果を図る治療方法の研究開発が行われている。また癌の治療抵抗性や,治療後の再発の原因として考えられている癌幹細胞(cancer stem cells;CSCs)や血中循環癌細胞(circulating tumor cells;CTCs)とEMTとの関連が報告されており,EMTの制御に着目した癌の新たな治療戦略が期待されている。
「KEY WORDS」上皮間葉転換(EMT)/Wnt/CSCs/CTCs

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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