<< 一覧に戻る

Catch Up 分子生物学

Reactive oxygen species(ROS)にかかわるシグナルについて

北原知洋原口直紹水島恒和土岐祐一郎森正樹

大腸がんperspective Vol.3 No.2, 42-45, 2016

[テーマ文献①]Harris IS, Trelcar AE, Inoue S, et al. Glutathione and thioredoxin antioxidant pathways synergize to drive cancer initiation and progression.Cancer Cell. 2015 Feb 9;27(2):211-22.
[テーマ文献②]Sullivan LB, Martinez-Garcia E, Nguyan H, et al. The proto-oncometabolite fumarate binds glutathione to amplify ROS-dependent signaling. Mol Cell. 2013 Jul 25;51(2):236-48.

「Summary」Reactive oxygen species(ROS)は活性酸素種の総称であり,細胞増殖シグナルの活性化や血管新生の亢進,薬物耐性の獲得など癌細胞の細胞学的特徴と密接に関与していることが知られている。ROSにかかわるシグナルの解明は新たな癌治療の開発につながることが期待されているがいまだ不明な点が多い。そのなかでも,Harrisらはグルタチオン(GSH)が癌の発生に重要な役割を果たしており,GSHおよびチオレドキシン抗酸化経路の阻害による癌治療の可能性について報告した。またSullivanらは,フマル酸がグルタミン依存性酸化的クエン酸回路を介してROSとHIF-1発現を上昇させることをフマル酸ヒドラターゼ欠損癌細胞において報告している。フマル酸はGSHと結合することによって,NADPHを消費し,ROSを上昇させ,さらにヒストンの高メチルが誘導されることによりプロトオンコメタボライトとして機能するとしている。
「Key words」ROS,グルタチオン(GSH),フマル酸,TCA回路

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る