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State of the art Resected and discardは患者さんの治療に貢献するか

病理医の立場から

河内洋

大腸がんperspective Vol.3 No.1, 32-35, 2016

「Summary」近年,大腸の小ポリープに対し,内視鏡的に良性の腺腫と判断されるものは内視鏡的摘除の後,病理診断を行うことなく破棄するという,”Resect and discard”のコンセプトが注目されている。このコンセプトは,病理診断にかかる労力やコストを省略し,医療費を抑制しうることを利点の一つとしているが,本邦においては保険診療報酬体制の現状や今後の改善見込みなどを勘案し,どれほどの医療費抑制効果があるのか慎重に検討する必要がある。また5mm以下のポリープにも頻度は低いが浸潤癌が含まれている可能性がある。現在の内視鏡診断の精度はきわめて高いとはいえそれらが見逃されるおそれを完全に排除することができない以上,病理診断の省略には慎重になるべきと考える。またそもそも5mm以下の腺腫を切除する必要があるのか,経過観察で問題がないのかについてもあらためて検証する必要があり,後者で問題がないのであれば“Resect and discard”のコンセプト自体が成立しないことになる。
「Key words」Resect and discard,病理診断,大腸ポリープ

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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