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State of the art 癌幹細胞研究の最前線

幹細胞イメージング

矢内洋次上野博夫

大腸がんperspective Vol.2 No.4, 26-33, 2016

「Summary」成体幹細胞は組織維持,障害時修復などの重要な役割を担っており,その異常はがん化,老化など種々の重要な生命現象の鍵となっている点で,きわめて重要な研究対象である。成体幹細胞の解析には幹細胞を純化し移植する実験が行われてきたが,技術的に移植が難しい成体幹細胞を研究するために,Cre-loxPシステムを利用した細胞系譜追跡法が開発され使用されてきた。しかし,従来の細胞系譜追跡法では,細胞の標識マーカーが単色であり,異なるクローン同士の識別が困難であることから適応に限界があった。近年,われわれの研究を通じて多色細胞追跡法が開発されたことにより,より詳細な解析が可能となった。この方法により,生体内の正常成体幹細胞の同定とその動態解析だけでなく,がん組織の発生起源およびがん組織内に存在が想定されるがん幹細胞によるがん組織維持を空間的・時間的に視覚化して,さまざまな解析を行うことが可能となっている。本稿では,正常大腸上皮幹細胞と大腸がんに関するがん幹細胞研究についての概要,多色系譜追跡法を用いたがん幹細胞同定の現状について,将来的な展望を交えて考察したい。
「Key words」大腸がん幹細胞,大腸上皮幹細胞,多色細胞系譜追跡法,蛍光イメージング

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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