画像診断との対比で学ぶ大腸疾患アトラス
「Carcinoid」をめぐる日本とWHOの相違
掲載誌
大腸がんperspective
Vol.2 No.3 4-8,
2015
著者名
岩下明德
/
田邉寛
記事体裁
症例
/
抄録
疾患領域
消化器
/
癌
診療科目
一般外科
/
消化器内科
/
腫瘍内科
/
消化器外科
媒体
大腸がんperspective
「はじめに」カルチノイド腫瘍は原腸系臓器に広く分布するアミン・ペプタイド産生内分泌細胞の幼若細胞に起源する腫瘍,つまり内分泌細胞のみから構成され特異な組織像を示す上皮性腫瘍で,悪性度の低い一種の癌腫と位置づけられている。肉眼的に黄色調の粘膜下腫瘍として認識される。組織学的には比較的小型で均一な腫瘍細胞が小胞巣状,索状,リボン状,ロゼット状ないし管状に増殖し,間質は狭く毛細血管に富む特徴的な形態をとる。核分裂像はほとんどみられず,増殖能指数(Ki-67 指数)も低値である。組織化学的,免疫組織化学的,電顕的にはほとんどすべての腫瘍細胞が神経内分泌顆粒(物質)を有している。予後は比較的良好な場合が多い。一方,内分泌細胞癌は通常丹念に検索すると腺癌成分を一部にでも有する事が多いので,腺癌を発生母地,つまり腺癌幹細胞に由来する腫瘍と考えられている。したがって肉眼的には通常の進行腺癌と同様の形態,すなわち潰瘍限局型,潰瘍浸潤型,隆起型などの形態を示すことが多い。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。