大腸癌化学療法のトピックス
外科医から見た最近の大腸癌化学療法
掲載誌
大腸がんperspective
Vol.2 No.2 64-67,
2015
著者名
加藤健志
記事体裁
抄録
疾患領域
消化器
/
癌
診療科目
消化器内科
/
腫瘍内科
/
消化器外科
媒体
大腸がんperspective
「FIRE-3試験とCALGB/SWOG80405試験の相違」大腸癌化学療法に関して昨今注目された臨床試験といえば,FIRE-3試験,CALGB/SWOG 80405試験,new EPOC試験の3つだろうと思います。FIRE-3試験とCALGB/SWOG 80405試験は,抗VEGF抗体薬と抗EGFR抗体薬を直接比較したほぼ同時期に行われた試験で,2013年,2014年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)および欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で報告されました。FIRE-3試験はドイツを中心に,CALGB/SWOG80405試験はアメリカを中心に行われましたが,結果は異なるものでした。先に報告されたFIRE-3試験では奏効率,無増悪生存期間(PFS)には差を認めませんでしたが,全生存期間(OS)には差を認め,セツキシマブのほうが良好な結果でした。一方,CALGB/SWOG80405試験では奏効率,PFS,OSすべてにおいて差を認めませんでした。この異なる結果に対してさまざまな考察がなされていますが,その背景を見ると,納得できる部分があると思います。それは,二次治療の違いで,CALGB/SWOG80405試験において,一次治療にベバシズマブが投与された群では二次治療にベバシズマブは50%以上に使われていましたが,FIRE-3試験ではベバシズマブが二次治療に使われていた患者は17.3%でした。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。