「Summary」大腸内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection;ESD)は,穿孔率が高く手技的に困難であるとされてきた。大腸壁が薄いこと,彎曲・ひだが存在する臓器であることがその主な原因であるが,技術の発達や機器の進歩により有効性・安全性が示され2012年4月に保険収載がなされた。しかしながら経験の少ない時期には偶発症が起きないよう十分な配慮が望まれる。本稿では大腸ESDにおいて最も重要な課題である局注法,穿孔および術中出血の予防に的を絞り,独自の取り組みも交えて詳述する。
「Key words」大腸ESD,ピットフォール