現在の血友病治療において,定期補充療法は標準的治療となったが,凝固因子の半減期が短いために頻回の静脈穿刺が必要であり,生活の質(QOL)が低下するという課題が残されている.とくに血管確保の難しい小児においては患者や家族に負担がかかり,思春期にはアドヒアランス低下の誘因となり年間出血率(annualized bleeding rate;ABR)の上昇をもたらす.穿刺頻度を減らす1つの方法として,近年,凝固因子に何らかの修飾を加えることによってその半減期を延長させた半減期延長(extended half life;EHL)製剤が開発された.血友病BのEHL製剤は,standard half life(SHL)製剤と比べて約3~5倍に半減期が延長するため,定期補充の頻度が少なくてもトラフ凝固因子活性を高く維持することが可能である.また,出血時の治療や周術期の止血管理においても,投与頻度を減らすことが可能となる.
血友病BのEHL製剤は,各薬剤の半減期延長機序の違いによって薬物動態(pharmcokinetics;PK)プロファイルなどに違いが生じているため,各製剤ごとに用量・用法が異なっている.どの症例にどの製剤が適しているかは個別に判断する必要があるが,本稿では,2019年5月現在販売中の血友病BのEHL製剤について各製剤の特徴を解説する.
血友病BのEHL製剤は,各薬剤の半減期延長機序の違いによって薬物動態(pharmcokinetics;PK)プロファイルなどに違いが生じているため,各製剤ごとに用量・用法が異なっている.どの症例にどの製剤が適しているかは個別に判断する必要があるが,本稿では,2019年5月現在販売中の血友病BのEHL製剤について各製剤の特徴を解説する.