一般血液内科医向けQ&A
凝固因子の測定法について教えてください
掲載誌
Frontiers in Haemophilia
Vol.2 No.2 25-26,
2015
著者名
山﨑哲
記事体裁
抄録
疾患領域
血液
/
小児疾患
診療科目
血液内科
/
小児科
媒体
Frontiers in Haemophilia
血液凝固スクリーニング検査であるプロトロンビン時間(prothrombin time;PT)や活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time;APTT)などの凝固時間検査において原因不明の延長が認められた場合,PTのみの延長であればおもに血液凝固第VII因子が,APTTのみの延長であれば接触相を含む内因系凝固因子(プレカリクレイン,高分子キニノゲン,血液凝固第XII因子,第XI因子,第IX因子,第VIII因子)が,さらにPT,APTTともに延長した場合は共通系の凝固因子(第X因子,第V因子,プロトロンビン,フィブリノゲン)の量的・質的異常,または各血液凝固過程に関与するなんらかのインヒビターの存在を考慮する必要がある.凝固時間の延長が凝固因子の欠乏によるか,あるいは凝固因子インヒビターやループスアンチコアグラント(lupus anticoagulant;LA)などの循環抗凝血素によるものかの鑑別には延長を示した測定系によるクロスミキシング試験(交差混合試験)で評価したうえでその後の検索を進めることが推奨される.個々の凝固因子の欠乏を疑う場合,わが国では,PTやAPTTを基本とした凝固一段法による活性測定が一般的に行われているが,ほかに発色性合成基質法や,ELISA法による抗原量測定などの測定法も存在する.ただし,後者2つの測定は,現時点では保険適応となっていない.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。