血友病最前線
【臨床】免疫寛容導入(ITI)療法
掲載誌
Frontiers in Haemophilia
Vol.2 No.2 19-23,
2015
著者名
酒井 道生
記事体裁
抄録
疾患領域
血液
/
小児疾患
診療科目
血液内科
/
小児科
媒体
Frontiers in Haemophilia
「はじめに」ここ30~40年のあいだに,高濃度の血液凝固因子製剤が開発され,定期補充療法が普及したことに伴い,血友病の治療状況はめざましく向上した.しかし,一旦インヒビターが発生すると,止血管理は非常に難しくなる.インヒビターが発生した場合,2つの視点が必要となる.1つは止血管理の選択をどうすべきかであるが,現時点では,高用量中和療法かバイパス止血療法がその選択肢となる.もう1つはインヒビターの根絶をいかに図るかである.インヒビターを根絶することができれば,通常用量の第VIII因子(FVIII)製剤や第IX因子(FIX)製剤での止血管理が再び可能となる.こちらに関しては,現在,免疫寛容導入(immune tolerance induction;ITI)療法が最も有力であり,本稿ではその現況を概説したい.ただし,血友病BでのITI療法は,血友病Aと比較して問題点が多く,最後に少し触れるにとどめる.つまり,本稿はおもに血友病Aを対象としたITI療法の現況と理解されたい.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。